以前ツイートで、「金融引き締め&企業の利益低下というダブルパンチで指数下落が来る」と考えていると書きました。
今回はこちらについて私なりの考えを書きます。
今後のシナリオ予想として、
金融引き締め&企業の利益低下というダブルパンチで指数下落が来ると思ってます— 初陽(はつひ)@株式投資 (@hatsuhi_01) June 7, 2022
インフレ状況
金融緩和によるお金の供給量の増加から一転し、現在はFRBが利上げを行い、市場から資金を引き上げています。
しかし、これでインフレが止まっていないのが今の現状です。
現に、6月10日のCPI発表では、5月は前年比で8.6%上昇と、インフレが再加速していることが確認されました。
New: 米消費者物価指数、5月は前月比1%上昇-前年比では8.6%上昇https://t.co/aOJGzODYed
— ブルームバーグニュース (@BloombergJapan) June 10, 2022
このことから、現状はFRBの利上げの効果が出ていないことになります。
また、金融緩和以外にもインフレの原因があります。
それが原油価格の高騰です。
原油価格の高騰はウクライナ問題や脱炭素の方針によって起きています。
この問題は、FRBが対処できることではないため、インフレ抑制が思うように進まない要因となります。
想定されるシナリオ
このインフレがまだ続くと考えると、次に起こるシナリオとして、消費の低迷が考えられます。
現在は物価上昇率と賃金上昇率に差があるため、物価上昇が続くと段々と家計が厳しくなります。
そうなると、消費者としては、分割払いなどをして資金繰りを先送りにする人が増えます。
現に、下で引用した記事にあるように借入金は4月に年間ベースで10.1%増加しています。
クレジットの借り入れ金が増加
物価上昇してると、借金してでも早めに買う方が得になる
でも賃金上昇が遅いと、いずれそれができなくなる
シナリオ1:買えなくなって購買力低下
シナリオ2:焦げ付きが増えるシナリオ2から回り回って信用収縮とか起きると怖いなあhttps://t.co/DWKKt9niiu
— 初陽(はつひ)@株式投資 (@hatsuhi_01) June 8, 2022
このように、生活資金まで借金する状態にじわじわなっています。
今後起きることとして、ツイートで記載したように
- 買いの需要が低下
- 借入金が払えなくなって焦げ付きが増える
があります。
買いの需要が低下すると起きうること
買いの需要が低下すると、消費低迷で企業の業績悪化が悪化します。
また、現在はサプライチェーンの供給サイドがボトルネックになっていることもありますが、サプライチェーンの改善で物が届いても、輸送費の増加(ガソリン価格の高騰)を価格転嫁することで物価上昇が継続すると、結局買われず仕舞いになることがあります。
それどころか、在庫費用の増加で企業業績はさらに悪化する可能性があります。
これが在庫拡大のニュース(5/30)
インフレで捌けなくなるのに、サプライチェーンがさらに改善して供給量増えるとダメダメになるhttps://t.co/QXs9ZzsIc3
— 初陽(はつひ)@株式投資 (@hatsuhi_01) June 11, 2022
このような状態が起きると、最終的には、高くて買えない→物が溢れる→生産停滞→雇用萎縮と進んで経済全体が悪化し、リセッション(景気後退)が起きる可能性があります。
借入金が払えなくなって焦げ付きが増えると起きうること
焦げ付きが起きると、だんだんと個人に対する貸し渋りなどの信用収縮が起きる可能性があります。
信用収縮を考える際は、リーマンショックを思い出すと良いでしょう。
リーマンショックでは、住宅ローンを証券化した金融商品が世界の金融機関や投資家に出回り、そのローンが返せないことで生じました。
今回は個人のクレジットカードのローンであり、それを証券化していることはないと考えられる(少なくとも私は知らない)ので、リーマンショックと同様に起きるとは限りません。
また、あくまで今は個人に対する貸し渋りになる可能性が大きいので、企業に対する貸し渋りに必ずつながるとも限りません。
しかしながら、現在はその信用収縮が全体に波及するか否かの瀬戸際であり、もし波及すれば大きな影響が起きることは覚えておきましょう。
仮になったとしたら、リーマンショックのときのような強烈なリセッションが起きる可能性があります。
リセッションしてもFRBは何もできない
ここで、リセッションしたと仮定します。
通常のリセッションのときは、FRBは利下げを行い、市場にお金をばらまきます。
例えば、リーマンショックやコロナショックのときは、実際に利下げを行ったりして正常化へと向かうようにしていました。
しかしながら、今回はFRBは利下げができない、しても意味がない可能性が大きいです。
理由の1つ目として、金利の引き下げの下値がすぐ近くまであることがあります。
最近まで0%で推移していましたが、今年に入って利上げを始めたばかりで、依然として低金利です。
ここからさらに利下げをしてもインパクトは軽微といえるでしょう。
理由2つ目として、今回のリセッションの原因がインフレだからです。
そのインフレは、(FRBの緩和等もありますが)原油価格の高騰というFRBが対処できないところで起きています。
このインフレを抑制しないといけないのに、利下げ等で緩和してもインフレを加速してさらに悪化するだけになります。
そのため、このインフレが落ち着くまでは、途中で景気が悪化してもFRBは何も対策を打てず、ただ見ていることしかできない可能性が大きいです。
むしろ、早くインフレを抑えるために、FRBは利上げを行う可能性もあります。
このような理由から、私は金融引き締め&企業の利益低下というダブルパンチが起こり、株式市場の下落が来るシナリオがあると考えています。(あくまでひとつの考えですが)
まとめ
まとめると、このような流れになります。
- インフレが加速→FRBが利上げ、QTを加速するが、原油価格などの高騰などによる物価上昇は抑えられない
- 生活苦でクレジットによるリボ払いなどが増えて凌ぐが、最後は払えなくなるので購買力低下→買い需要低下
- 消費低迷で企業の業績悪化、信用収縮→リセッション
- リセッションはインフレが原因なので利下げできず、むしろ利上げ→金融引き締め&企業の利益低下というダブルパンチで株式市場の下落
これがトントン拍子で進んだ場合、リセッション自体は早くて今年の年末ごろから来年前半には起きるのでは無いかと考えています。
ただ、これはあくまでシナリオのひとつです。
実際は原油価格が落ち着く、サプライチェーンの改善で物価が下がることも考えられます。
今年は特に難しい年なので、いろいろなシナリオを想定して、株式市場に挑むようにしましょう。
コメント